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保育所保育指針
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   第六章 二歳児の保育の内容

1 発達の主な特徴
  子どもは、この時期、歩行の機能は一段と進み、走る、跳ぶなどの基本的な運動機能が伸び、体を自分の思うように動かすことができるようになり、身体運動のコントロールもうまくなるので、リズミカルな運動や音楽に合わせて体を動かすことを好むようになる。
  同時に指先の動きも急速に進歩する。発声、構音機能も急速に発達して、発声はより明瞭になり、語いの増加もめざましく、日常生活に必要な言葉も分かるようになり、自分のしたいこと、してほしいことを言葉で表出できるようになる。このような発達を背景に行動はより自由になり、行動範囲も広がり、他の子どもとの関わりを少しずつ求めるようになる。感染症に対する抵抗力は次第についてくるが、感染症は疾病の中では最も多い。
  日々の生活の中での新たな体験は、子どもの関心や探索意欲を高め、そこで得られた喜びや感動や発見を、自分に共感してくれる保育士や友達に一心に伝えようとし、一緒に体験したいと望むようになる。このような子どもの欲求を満たすことによって、諸能力も高まっていき、自分自身が好ましく思え、自信を持つことができるようになる。
  したがって、大人の手を借りずに何でも意欲的にやろうとする。しかし、現実にはすべてが自分の思いどおりに受け入れられるわけではなく、また、自分でできるわけでもないので、しばしば大人や友達との間で、自分の欲求が妨げられることを経験する。
  ところが、この頃の子どもはまだこうした状況にうまく対処する力を持っていないので、時にはかんしゃくを起こしたり、反抗したりして自己主張することにもなる。これは、自我が順調に育っている証拠と考えられる。この時期にも、子どもは周りの人の行動に興味を示し、盛んに模倣するが、さらに、物事の間の共通性を見い出したり、概念化することもできるようになる。また、象徴機能や観察力も増し、保育士と一緒に簡単なごっこ遊びができるようになる。

2 保育士の姿勢と関わりの視点
  全身運動、手指などの微細な運動の発達により、探索活動が盛んになるので、安全に留意して十分活動できるようにする。生活に必要な行動が徐々にできるようになり、自分でやろうとするが、時には甘えたり、思い通りにいかないとかんしゃくを起こすなど感情が揺れ動く時期であり、それは自我の順調な育ちであることを理解して、一人一人の気持ちを受け止め、さりげなく援助する。また、模倣やごっこ遊びの中で保育士が仲立ちすることにより、友達と一緒に遊ぶ楽しさを次第に体験できるようにする。

3 ねらい
 (1) 保健的で安全な環境をつくり、快適に生活できるようにする。
 (2) 一人一人の子どもの欲求を十分に満たし、生命の保持と情緒の安定を図る。
 (3) 楽しんで食事、間食をとることができるようにする。
 (4) 午睡など適切に休息の機会をつくり、心身の疲れを癒して、集団生活による緊張を緩和する。
 (5) 安心できる保育士との関係の下で、食事、排泄などの簡単な身の回りの活動を自分でしようとする。
 (6) 保育士と一緒に全身や手や指を使う遊びを楽しむ。
 (7) 身の回りに様々な人がいることを知り、徐々に友達と関わって遊ぶ楽しさを味わう。
 (8) 身の回りのものや親しみの持てる小動物や植物を見たり、触れたり、保育士から話を聞いたりして興味や関心を広げる。
 (9) 保育士を仲立ちとして、生活や遊びの中で言葉のやりとりを楽しむ。
 (10) 保育士と一緒に人や動物などの模倣をしたり、経験したことを思い浮かべたりして、ごっこ遊びを楽しむ。
 (11) 興味のあることや経験したことなどを生活や遊びの中で、保育士とともに好きなように表現する。

4 内容
 (1) 一人一人の子どもの健康状態や発育・発達状態を把握し、異常のある場合は適切に対応する。
 (2) 生活環境を常に清潔な状態に保つとともに、身の回りの清潔や安全の習慣が少しずつ身につくようにする。
 (3) 一人一人の子どもの気持ちを理解し、受容することにより、子どもとの信頼関係を深め、自分の気持ちを安心して表すことができるようにする。
 (4) 楽しい雰囲気の中で、自分で食事をしようとする気持ちを持たせ、嫌いなものでも少しずつ食べられるようにする。
    また、食事の後、保育士の手助けによって、うがいなどを行うようにする。
 (5) 落ち着いた雰囲気の中で十分に眠る。
 (6) 自分から、あるいは言葉をかけてもらうなどして便所に行き、保育士が見守る中で自分で排泄する。
 (7) 簡単な衣服は一人で脱ぐことができるようになり、手伝ってもらいながら一人で着るようになる。
 (8) 顔を拭く、手を洗う、鼻を拭くなどを保育士の手を借りながら少しずつ自分でする。
 (9) 走る、跳ぶ、登る、押す、引っ張るなど全身を使う運動を取り入れた遊びや、つまむ、丸める、めくるなどの手や指を使う遊びを楽しむ。
 (10) 自分の物、人の物の区別に気づくようになる。保育士の適切な援助によって自分の物の置き場所が分かる。
 (11) 保育士の仲立ちによって、共同の遊具などを使って遊ぶ。
 (12) 身の回りの小動物、植物、事物などに触れ、それらに興味、好奇心を持ち、探索や模倣などをして遊ぶ。
 (13) 生活に必要な簡単な言葉を聞き分け、また、様々な出来事に関心を示し、言葉で表す。
 (14) 保育士と一緒に簡単なごっこ遊びをする中で言葉のやりとりを楽しむ。
 (15) 絵本や紙芝居を楽しんで見たり聞いたりし、繰り返しのある言葉の模倣を楽しむ。
 (16) 保育士と一緒に、水、砂、土、紙などの素材に触れて楽しむ。
 (17) 保育士と一緒に歌ったり簡単な手遊びをしたり、リズムに合わせて、体を動かしたりして遊ぶ。

5 配慮事項
 (1) 一人一人の子どもの発育・発達状態及び日常に見られる心身の状態を十分に把握し、その変化に気づいたときには適切な処置ができるように配慮する。
 (2) 食事、排泄、睡眠、衣類の着脱など生活に必要な基本的な習慣については、一人一人の子どもの発育・発達状態、健康状態に応じ、十分に落ち着いた雰囲気の中で行うことができるようにし、また、その習慣形成に当たっては、自分でしようとする気持ちを損なわないように配慮する。
 (3) 食事の前後、排泄の後などにおいては、自分で清潔にしようとする気持ちが持てるように配慮し、一人でできたときは十分にほめるようにする。
 (4) 外遊びや遊具で遊ぶ機会を多くし、遊具に慣れる経験を大切にしながら、子どもの自主性に応じて遊べるように工夫し、健康増進を図るように配慮する。
 (5) 衝動的な動作が多くなるので、子どもから目を離さないように注意する。
 (6) 活発な活動の後には、一人一人の子どもの状態によって適切な休息や水分を与えたり、汗を拭いたりして、体の状態を観察する。
 (7) 子どもが、楽しみながら全身や手を使う活動ができるような遊びを取り入れる。
 (8) 子ども同士のけんかが多くなるので、保育士はお互いの気持ちを受容し、分かりやすく仲立ちをして、根気よく他の子どもとの関わり方を知らせていく。
 (9) 自然や身近な事物などへの興味や関心を広げていくに当たっては、安全や衛生面に留意しながら、それらと触れ合う機会を十分に持つようにする。
    また、保育士がまず親しみや愛情を持って関わるようにして、子どもが自分からしてみようと思う気持ちを大切にする。
 (10) 子どもの話はやさしく受け止め、自分から保育士に話しかけたいという気持ちを大切にし、楽しんで言葉を使うことができるように配慮する。
 (11) くり返しのある話や絵本を読んで聞かせたり、子どものしたことをお話にしたりして様々な興味を養うようにする。
 (12) 生活や遊びの中で、子どものつぶやきやしぐさなどに保育士が共感しながら、表現の喜びや芽生えを育てるように配慮する。
 (13) 歌うことや、音楽に合わせて体を動かすことを好むので、子どもの好む歌、簡単な歌詞、旋律の歌や曲を正しく、美しく表現するように配慮する。


保育指針研究会
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