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保育所保育指針
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   第九章 五歳児の保育の内容

1 発達の主な特徴
  子どもは、この時期、日常生活の上での基本的な習慣は、ほとんど自立し、自分自身でできるようになり、そばで見ていても危なげがなくなり、頼もしくさえ思われてくる。また、運動機能はますます伸び、運動を喜んで行い、なわとびなどもできるようになる。
  内面的にも一段と成長し、今までのように大人が「いけない」というから悪いのではなくて、自分なりに考えて納得のいく理由で物事の判断ができる基礎が培われてくる。また、行動を起こす前に考えることもできるようになり、自分や他人を批判する力も芽生えてきて、「ずるい」とか「おかしい」など不当に思うことを言葉で表すようになる。手伝いなども、はっきりと目的を持って行うことが多くなり、しかもその結果についても考えが及ぶようになる。
  好きでないことでも、少しは我慢して行い、他人の役に立つことがうれしく、誇らしく感じられるようにもなってくる。
  この頃になると、より一層仲間の存在が重要になる。即ち、同じ一つの目的に向かって数人がまとまって活動するようになり、お互いが自分のやらなければならないことや、きまりを守ることの必要性が分かってきて、初めて集団としての機能が発揮されるようになってくる。このような集団の中で言葉による伝達や対話の必要性は増大する。これは自分の思いや考えをうまく表現し、他人の言うことを聞く力を身につける生きた学習の場になる。言葉を主体として遊んだり、さらには共通のイメージを持って遊んだりすることもできるようになる。また、自分と相手との欲求のぶつかり合いやけんかが起きても、今までのようにすぐに保育士に頼るのではなく、自分たちで解決しようとするようになってくる。つまり、お互いに相手を許したり、認めたりする社会生活に必要な基本的な能力を身につけるようになり、仲間の中の一人としての自覚や自信が持てるようになる。

2 保育士の姿勢と関わりの視点
  毎日の保育所生活を通して、自主性や自律性が育つ。更に集団での活動も充実し、きまりの意味も理解できる。また、大人の生活にも目を向けることができるときである。社会性がめざましく育つことに留意しながら、子どもの生活を援助していくことが大切である。

3 ねらい
 (1) 保健的で安全な環境をつくり、快適に生活できるようにする。
 (2) 一人一人の子どもの欲求を十分に満たし、生命の保持と情緒の安定を図る。
 (3) 食事をすることの意味が分かり、楽しんで食事や間食をとるようにする。
 (4) 午睡など適切な休息をさせ、心身の疲れを癒し、集団生活による緊張を緩和する。
 (5) 自分でできることの範囲を広げながら、健康、安全など生活に必要な基本的習慣や態度を身につける。
 (6) 安全や危険の意味やきまりが分かり、危険を避けて行動する。
 (7) 様々な遊具や用具を使い、複雑な運動や集団遊びを通して体を動かすことを楽しむ。
 (8) 周りの人々に対する親しみを深め、集団の中で自己主張したり、また、人の立場を考えながら行動する。
 (9) 異年齢の子どもたちと遊ぶ楽しさを味わう。
 (10) 身近な社会や自然の環境と触れ合う中で、自分たちの生活との関係に気づき、それらを取り入れて遊ぶ。
 (11) 日常生活に必要な事物を見たり、扱ったりなどして、その性質や存在に興味を持ったり、数、量、形などへの関心を深める。
 (12) 様々な機会や場で活発に話したり、聞いたりして、生活の中で適切に言葉を使う。
 (13) 絵本、童話、視聴覚教材などを見たり聞いたりして、その内容や面白さを楽しみ、イメージを豊かに広げる。
 (14) 身近な社会や自然事象への関心が高まり、様々なものの面白さ、不思議さ、美しさなどに感動する。
 (15) 感じたことや思ったこと、想像したことなどを自由に工夫して、表現する。

4 内容
 〔基礎的事項〕
 (1) 一人一人の子どもの平常の健康状態や発育・発達状態を把握し、異常を感じる場合は速やかに適切な対応をする。また、子どもが自分から体の異常を訴えることができるようにする。
 (2) 施設内の環境保健に十分に留意し、快適に生活できるようにする。
 (3) 一人一人の子どもの気持ちや考えを理解して受容し、保育士との信頼関係の中で、自分の気持ちや考えを安心して表すことができるなど、情緒の安定した生活ができるようにする。
 (4) 食事、排泄、睡眠、休息など生理的欲求が適切に満たされ、快適な生活や遊びができるようにする。

 「健康」
 (1) 体と食物の関係に関心を持つ。
 (2) 排泄の後始末を上手にする。
 (3) 午睡や休息を自分から進んでする。
 (4) 自分で衣服を着脱し、必要に応じて衣服を調節する。
 (5) うがい、手洗いの意味が分かり、体や身の回りを清潔にする。
 (6) 体の異常について、自分から保育士に訴える。
 (7) 危険なものに近寄ったり、危険な場所で遊ばないなど、安全に気をつけて遊ぶ。
 (8) 積極的に外で遊ぶ。
 (9) 様々な運動器具に進んで取り組み、工夫して遊ぶ。
 (10) 友達と一緒に様々な運動や遊びをする。

 「人間関係」
 (1) 保育士や友達などとの安定した関係の中で、意欲的に遊ぶ。
 (2) 簡単なきまりをつくり出したりして、友達と一緒に遊びを発展させる。
 (3) 自分の意見を主張するが、相手の意見も受け入れる。
 (4) 友達と一緒に食事をし、食事の仕方が身に付く。
 (5) 友達への親しみを広げ、深め、自分たちでつくったきまりを守る。
 (6) 友達への思いやりを深め、一緒に喜んだり悲しんだりする。
 (7) 人に迷惑をかけないように人の立場を考えて行動しようとする。
 (8) 共同の遊具や用具を譲り合って使う。
 (9) 異年齢の子どもとの関わりを深め、思いやりやいたわりの気持ちを持つ。
 (10) 地域のお年寄りなど身近な人に感謝の気持ちを持つ。
 (11) 外国の人など自分とは異なる文化を持った様々な人に関心を持つようになる。

 「環境」
 (1) 身近な動植物に関心を持ち、いたわり、世話をする。
 (2) 自然事象が持つ、その大きさ、美しさ、不思議さなどに気づく。
 (3) 身近な公共施設や交通機関などに興味や関心を持つ。
 (4) 近隣の生活に興味や関心を持ち、人々が様々な営みをしていることに気づく。
 (5) 身近にいる大人が仕事をしている姿を見て、自らも進んで手伝いなどをしようとする。
 (6) 自然や身近な事物・事象に関心を持ち、それを遊びに取り入れ、作ったり、工夫したりする。
 (7) 身近な用具、器具などに興味を持ち、その仕組みや性質に関心を持つ。
 (8) 身近な物を大切に扱い、自分の持ち物を整頓する。
 (9) 生活の中で物を集めたり、分けたり、整理したりする。
 (10) 簡単な数の範囲で、物を数えたり、比べたり、順番を言ったりする。
 (11) 生活の中で、前後、左右、遠近などの位置の違いや時刻、時間などに興味や関心を持つ。
 (12) 保育所内外の行事に喜んで参加する。
 (13) 祝祭日などに関心を持ち生活に取り入れて遊ぶ。

 「言葉」
 (1) 親しみを持って日常のあいさつをする。
 (2) 話しかけや問いかけに対し適切に応答する。
 (3) 身近な事物や事象などについて話したり、名前や日常生活に必要な言葉を使う。
 (4) 人の話を注意して聞き、相手にも分かるように話す。
 (5) 考えたこと経験したことを保育士や友達に話して会話を楽しむ。
 (6) 童話や詩などを聞いたり、自ら表現したりして、言葉の面白さや美しさに興味を持つ。
 (7) 絵本、童話などに親しみ、その面白さが分かって、想像して楽しむ。
 (8) 生活に必要な簡単な文字や記号などに関心を持つ。

 「表現」
 (1) 様々な音、形、色、手ざわり、動きなどを周りのものの中で気づいたり見つけたりして楽しむ。
 (2) 音楽に親しみ、みんなと一緒に聴いたり、歌ったり、踊ったり、楽器を弾いたりして、音色の美しさやリズムの楽しさを味わう。
 (3) 様々な素材や用具を利用して描いたり、作ったりすることを工夫して楽しむ。
 (4) 身近な生活に使う簡単なものや様々な遊びに使うものを工夫して作る。
 (5) 友達と一緒に描いたり、作ったりすることや身の回りを美しく飾ることを楽しむ。
 (6) 自分の想像したものを体の動きや言葉などで表現したり、興味を持った話や出来事を演じたりして楽しむ。

5 配慮事項
 〔基礎的事項〕
 (1) 一人一人の子どもの平常の状態を把握し、異常に気づいたら優しく問いかけをし、子どもがその状態を話すことができるように配慮するとともに、必要に応じて速やかに適切な対処をする。
 (2) 施設内の採光、換気、保温、清潔など環境保健に配慮する。
 (3) 子どもの気持ちを温かく受容し、保育所生活の様々な場面で、子どもが安定し、かつ自己を十分に発揮して活動できるように配慮する。

 「健康」
 (1) 健康、安全など生活に必要な基本的な習慣や態度が身につき、自分の体を大切にしようとする気持ちが育ち、自主的に行動することができるように配慮する。
 (2) 友達との遊びを通して、体を使って遊ぶことを楽しめるように配慮する。
 (3) 子どもの生活や経験と遊離した特定の運動や無理な技能の修得に偏らないように配慮する。

 「人間関係」
 (1) 一人一人の子どもが友達と関わる中で、個人や社会生活に必要な習慣や態度が身につくように配慮する。
 (2) グループを作る場合は、様々な場面で自分を主張でき、相手の立場を認め、他人のよいところを見つける力を育つように配慮する。
 (3) 集団生活は、一人一人が生かされ認められるよう、また、子どもが相互に必要な存在であることを実感できるように進められることが必要である。

 「環境」
 (1) 飼育・栽培を通して、動植物がどのようにして生きているのか、育つのか興味を持ち、生命が持つ不思議さに気づくようにする。
 (2) 動植物と自分たちの生活との関わりに目を向け、それらに感謝やいたわりの気持ちを育てていくようにする。
 (3) 生活の様々な面を通して、自然や社会の事象に対して、好奇心や探索心を満たすことができるように配慮する。
 (4) 身近にいる大人の仕事を見て、自分の生活と大切な関わりのあることに気づくように配慮する。
 (5) 日常生活の中で子ども自身の具体的な活動を通して、数、量、形、位置、時間などに気づくように配慮する。

 「言葉」
 (1) 個人差を考慮して、見たこと、聞いたこと、感じたこと、考えたことを言葉で表現できる雰囲気をつくるように配慮する。
 (2) 文字や記号については、日常生活や遊びの中で興味を持つよう、用具、遊具、視聴覚教材などの準備に配慮する。
 (3) 絵本や童話などの内容を子どもが自らの経験と結びつけたり、想像をめぐらせたりしてイメージを豊かにできるよう、その選定や読み方に十分な配慮をする。

 「表現」
 (1) 表現しようとする意欲を高め、結果にとらわれず、一人一人の子どもの創意工夫を認め、創造的な喜びが味わえるように配慮する。
 (2) 子どもの考えや子ども同士の認め合いを大切にし、みんなで一緒に表現することの喜びを味わうことができるように配慮する。
 (3) 表現しようとする気持ちを大切にし、生活や経験と遊離した特定の技能の修得に偏らないように配慮する。


保育指針研究会
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