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保育所保育指針
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   第一三章 保育所における子育て支援及び職員の研修など

 今日、社会、地域から求められている保育所の機能や役割は、保育所の通常業務である保育の充実に加え、さらに一層広がりつつある。通常業務である保育においては、障害児保育、延長保育、夜間保育などの充実が求められている。また地域においては、子育て家庭における保護者の子育て負担や不安・孤立感の増加など、養育機能の変化に伴う子育て支援が求められている。
 地域において最も身近な児童福祉施設であり、子育ての知識、経験、技術を蓄積している保育所が、通常業務に加えて、地域における子育て支援の役割を総合的かつ積極的に担うことは、保育所の重要な役割である。
 さらに、保育や子育て支援の質を常に向上させるため、保育所における職員研修や自己研鑽などについて、不断に努めることが重要である。
 このため、前章までの関連事項に留意するとともに、以下に示す留意事項に基づき、保育や地域子育て支援などの充実に努めることが必要である。

1 入所児童の多様な保育ニーズへの対応
 (1) 障害のある子どもの保育
   障害のある子どもの保育に当たっては、一人一人の障害の種類、程度に応じた保育ができるように配慮し、家庭、主治医や専門機関との連携を密にするとともに、必要に応じて専門機関からの助言を受けるなど適切に対応する。
   また、地域の障害のある子どもを受け入れる教育機関等との連携を図り、教育相談や助言を得たり、障害のある幼児・児童との交流の機会を設けるよう配慮する。なお、他の子どもや保護者に対して、障害に関する正しい認識ができるように指導する。
   さらに、保育所に入所している障害のある子どものために必要とされる場合には、障害児通園施設などへの通所について考慮し、両者の適切な連携を図る。

 (2) 延長保育、夜間保育など
   保育時間の延長、夜間に及ぶ保育あるいは地域活動などについては、基本的には通常の保育の計画に基づき進めるものであるが、それぞれの事業内容の特性及び地域環境や保育所の実状などを十分に配慮し、柔軟な対応を図る。
   延長、夜間に及ぶ保育に当たっては、子どもの年齢、健康状態、生活習慣、生活リズム及び情緒の安定を配慮した保育を行うように特に留意する。
   また、保護者と密接に協力して、子どもにとって豊かで安定した家庭養育が図られるように支援する。

 (3) 特別な配慮を必要とする子どもと保護者への対応
   保育所に入所している子どもに、虐待などが疑われる状況が見られる場合には、保育所長及び関係職員間で十分に事例検討を行い、支援的環境の下で必要な助言を行う。
   また、子どもの権利侵害に関わる重大な兆候や事実が明らかに見られる場合には、迅速に児童相談所など関係機関に連絡し、連携して援助に当たる。保護者への援助に当たっては、育児負担の軽減など保護者の子育てを支援する姿勢を維持するとともに、その心理的社会的背景の理解にも努めることが重要である。

2 地域における子育て支援
 (1) 一時保育
   保育所における一時保育は、子育て支援の一環として行うものであり、その意義及び必要性について保育所全体の共通理解を得て、積極的に取り組むように努める。
   一時保育の実施に当たっては、市町村の保育担当部局と緊密な連携をとりつつ、地域の一時保育ニーズを把握し、それに基づいて実施すること。
   一時保育における子どもの集団構成は、定型的、継続的な通常保育の集団構成と異なることから、一人一人の子どもの心身の状態、保育場面への適応状況などを考慮して保育するとともに、通常保育との必要な関連性を配慮しつつ柔軟な保育を行うように努める。
   なお、保育中のけがや事故に十分配慮するとともに、事故責任への対応を明確にしておくことが必要である。

 (2) 地域活動事業
   保育所における地域活動事業は、保育所が地域に開かれた児童福祉施設として、日常の保育を通じて蓄積された子育ての知識、経験、技術を活用し、また保育所の場を活用して、子どもの健全育成及び子育て家庭の支援を図るものである。このため、保育所は、通常業務に支障を及ぼさないよう配慮を行いつつ、積極的に地域活動に取り組むように努める。
   地域活動は、市町村の保育担当部局や他の保育所など関係施設や機関とも密接な連携をとりつつ、地域における子育てニーズを把握し、それに基づいて実施する。その内容は、多岐にわたるが、地域のニーズや重要性に応じ、並びに個々の保育所の実状や状況に応じて、適切に計画し、実施する。

 (3) 乳幼児の保育に関する相談・助言
   保育所における乳幼児の保育に関する相談・助言は、保育に関する専門性を有する地域に最も密着した児童福祉施設として果たすべき役割であり、通常業務に支障を及ぼさないよう配慮を行いつつ、積極的に相談に応じ、及び助言を行うことが求められる。
   相談・助言は、様々な機会をとらえて行い、日頃から利用者が安心して悩みを打ち明けられるような環境、態度に心がけることが必要である。
   相談・助言に当たっては、利用者の話を傾聴し、受容し、相互信頼関係の確立を基本として、一人一人のニーズに沿って利用者の自己決定を尊重するなど、相談の基本原理に基づいて行うことが求められる。また、プライバシーの保護、話された事がらの秘密保持には、特に留意しなければならない。
   助言等を行うに当たっては、必要に応じ嘱託医などの意見を求めるなど、保育所における相談の限界についても熟知する。また、子どもへの虐待が疑われるような場合には、児童相談所などに連絡し、連携して援助に当たる。
   また、他の専門機関との連携を密にし、必要に応じて紹介・斡旋を行う。その場合には、原則として利用者の了解を得るなど、その意向を尊重する姿勢が求められる。
   相談・助言の内容については、必ず記録に残し、保育所内の関係職員間で事例検討を行い、必要に応じ専門機関の助言などが得られる体制を整えておくことが必要である。

3 職員の研修等
  保育所に求められる質の高い保育や入所児童の多様な保育ニーズへの対応並びに子育て支援等のサービスは、職員の日常の自己学習や保育活動での経験及び研修を通じて深められた知識、技術並びに人間性が実践に反映されることにより確保できるものである。
  そのためには、所長及びすべての職員が保育やその他の諸活動を通じて、知見と人間性を深め、保育の知識、技術及び施設運営の質を高めるよう、常に自己研鑽に努めることが必要である。
  保育所では、所長はじめ職員全員が研修の意義及び必要性について共通理解を持ち、職員が研修に積極的かつ主体的に参画できるような環境づくりに心がけ、職員の資質の向上を図り、また、職員、所長及び保育所自身の自己評価を不断に行うことが求められる。
  所内研修、派遣研修は、保育所の職員体制、全体的業務などに留意して、体系的、計画的に実施する。また、自己評価は職種別あるいは保育所全体で個々に主体的かつ定期的に実施する。


保育指針研究会
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